野良職人

ランドスケープアーキテクトの仕事は景観計画 街並計画 公園計画 外構計画 作庭など良い屋外環境を創ることである
屋外を「野」とすれば「野」を「良」くする仕事人=「野良仕事人」ともいえる。一般的には「野良仕事」というのは農家における屋外での雑用と思われている
また「野良」とう言葉では野良犬、野良猫といった言葉を思い出す人が多いとおもう。野良犬は飼い主がなく屋外をぶらぶらしている犬の意味だがならず者やゴロツキといった意味でも使われるので残念ながらあまりいいイメージではない。
しかし「野良」を「野」を「良」くするという前向きな意味で捉え、「野良仕事人」と言いたい。

棚田などに代表されるように農業が結果的に作り出す景観には優れたものが多い
雑木林、里山、あぜ道、れんげ畑、鎮守の森などもそうである。これらは意図的にデザインされたのではない。 農業景観のデザインには必然性がある。
棚田は斜面地から最大限に収穫するためのシステムでありそのデザインは自然地形に従属する。これらはデザイナーのイメージで創造されるものではない。
アーティストはデザインにおいてまず自己が存在し、自分が何を表現したいかが前提となる。
ランドスケープアーキテクトは自然(土地)が前提でそこでなにが創造できるかを考える。
土地が持つ環境、歴史性、社会性などの要素を読み取りその土地の潜在能力を出来るだけ素直に多く引き出す能力が問われるのである。ランドスケープアーキテクトはアーティストではないのだ。
土地の潜在能力とはある意味土地という喋らないクライアントの要求であると考えてもよい。
実際のクライアントと土地というクライアントの要求が異なる場合も多々あるが彼らの要求を調整するのも重要な仕事となる。自分の好みで創造するのでなく両クライアントの要求を十分理解し創造していく職人でなくてはならい。
野良仕事人は野良職人であるべきだと思う。