渋谷川の復元(ランドスケープからみた新国立競技場の提案)



渋谷川(葛飾北斎 穏田の水車)
 巨大宇宙船が突然神宮外苑に不時着したようなデザインの国立競技場案はさまざまな議論を呼び一度決定した国家プロジェクトとしては非常に珍しく白紙撤回となった。
この案は私も古典的な未来造形物といった意味で古臭いと感じたので東京に里山スタジアムを!といったイメージの提案を勝手にした 。(TOKYO-MOUTAIN)
今回白紙となったので改めてこの国立競技場について考えてみたい。
[P1]
















[P1] 新国立競技場付近の図面で赤枠が今回の計画範囲となる。
まずこの地域の成り立ちから簡単にみると
ここは明治時代には練兵場があったところで明治天皇、皇后のご遺徳を後世に伝えるために、聖徳記念絵画館を中心に、記念建造物とスポーツ施設が全国のボランティア等の協力により造成され大正15年に明治神宮に奉献されたエリアである。
 要するに絵画館を中心としたカルチャー&スポーツのホリーパーク(神聖公園)ともいえる。

[P2]


























[P2] 1948年の外苑の航空写真。この時のスタジアムは初代国立競技場である。競技場の西側に川が確認できる(青丸印) この川は渋谷川の源流である。
穏田川(おんでんがわ)と呼ばれることもある。
渋谷川は新宿御苑から流れだしていた川でここから表参道を横断して渋谷付近で宇田川と合流しその後古川となり東京湾に流れていた
しかし1964年ごろ暗渠化され現在は下水道となっている

[P3]





















[P3] 初代競技場の部分を拡大するとスタジアムの様子がかわる。建造物は西側にある直線状のスタンドのみで絵画館側は地形が高くなっており高低差を利用した観覧席になっている。
渋谷川もはっきり確認できる。スタジアムは敷地の2/3程度の規模である。
このスタジアムは学徒出陣式という悲しい歴史の舞台でもあった。


[P4}
























[P4] 1958年当時の図面で今年解体された旧国立競技場周辺の図面
ここにも渋谷川が記載されているがこの後暗渠化された。


[P5]






















[P5] 地形をマクロで考察すると 渋谷方面から新宿御苑への谷戸上流部で絵画館から外苑西通りへ下っていく丘陵地のような位置づけであり、渋谷川が削り取った地形のように見える。

[P6]


























[P6] 計画地周辺の地盤高をチェックすると絵画館側が外苑西通りより7-8m高くなっている。
この地形を利用して初代競技場は観客エリアとしたのだ。
地盤高は国土地理院電子国土WEBより抽出した。(平坦地における精度は、2.3m以内)

渋谷川がこの地域の環境(地形)を形成するうえで重要な存在であったと考えられるので
この渋谷川復元を計画のメインコンセプトとする新国立競技場の提案をしてみたい。
参考にするのは初代競技場。
地形をうまく利用した無理のない素直な案で これから迎える成熟社会にふさわしいデザインだと考える
絵画館側観客席は高低差を活用した地形になじんだデザインとし東側にある程度緑地が確保できるので建築残土などでマウンドアップし潜在自然植生による森の再生を行う
また既存聖火台をこのマウンドトップに設置しスタジアムと直線的なデザインで結びモニュメントとする。
観客席は屋根付きで透過性のある素材またはテントなどを活用したい

西側のメインスタンドは直線状のシンプルな形態とする。壁面緑化、太陽光パネル等によるエコロジー施設も積極的に取り入れる。可能であれば木材の活用も検討したい(例:木材会館

メインスタンドの西側は渋谷川を復元したプロムナードとし、メインスタンド1F(プロムナード側)はショップなどのテナントを誘致する

オリンピック施設としては陸上競技場としての機能を優先し、常設サブトラックも整備する。
 コンサートなどの二次的活用は考慮しない。
サッカーは可能であるがサッカーワールドカップは8万人規模のサッカー専用スタジアムを湾岸地域などに別途建設する。サッカー文化を養成するためにも陸上競技場の併用ではなくサッカー専用の聖地が必要だと考える 
青年会館があった場所にはアスリートホテルを建設する。

当計画の収容人数は*42,000人ほど(旧国立が5万人なので減築)となるがサブトラック、宿泊施設が常設されアスリートへの配慮を最優先にした計画とした。
(*0.5m2/人で算出 座席のみなら0.46*0.8=0.38m2)

新国立競技場案 (north view)

新国立競技場案 (south view)
渋谷川プロムナード

参考HP

2015・12・22追記
本日、新国立競技場のデザインが決定した。隈研吾氏のデザインによるもので「木と緑のスタジアム」をコンセプトにし、私が願った渋谷川の復元、木材の積極的活用なども盛り込まれたすばらしいスタジアムだと思う。
渋谷川の再現(せせらぎイメージ)































江東ハイライン構想

江東区には越中島支線という貨物支線がある
昭和4年に小名木川と亀戸の物流も目的に開業し、その後越中島まで延長されたが現在はほとんど利用されていない
江東区ではこの支線を活用してライトレールを走らせようという案があるが収支上の問題で長期構想にとどまっている。
そんな中この貨物支線を活用してニューヨークのハイラインをイメージしたグリーンプロムナードにしようというアイデアを聞く機会があった。
江東CIGシンポジウムで大塚守康氏が提案したものだ。大塚氏は現状の貨物支線が高架、法面などで生活道路レベルより高所にあり
ライトレールのような平面によるバリアフリーを前提にしたシステムには不向きでむしろ散策路として整備したほうがよいのではないかという事であった
似たような条件で整備されたニューヨークのハイラインは延長距離は約2.3kmで年間440万人の集客があり自由の女神(315万)やMoma(250万)を上回る超人気スポットになっている。
亀戸~越中島は5㎞以上になるが亀戸から2㎞程度の距離で仙台堀川公園を高架で横断するのでまずはこの区間を整備したらどうだろうか
仙台堀川公園は木場公園までつながっており現代美術館などにもアクセスできる。
亀戸~仙台堀川公園間には旧小名木川駅の敷地を利用したショッピングモール、マンションが整備されハイラインの核になる。

勝手にお絵かきをしました。

江東ハイレーン構想(旧小名木川駅よりスカイツリーを望む)



















ニューヨーク・ハイライン参考写真

ヴェルサイユ宮殿は自然式庭園だった!?

幾何学 の真相
ヴェルサイユ宮殿はル・ノートルの設計した幾何学式庭園 である。
英国の風景式庭園や日本庭園などと比較するとそれはかなり人為的に見える
私は王がその権力は絶対で自然をも征服できるといった事をアピールをするために大地に造型したものだとず~と思っていた。
しかし実際はそうではないようである。あの幾何学デザインは自然そのものだったのである

「ル・ノートルの庭園の秩序だった構成は、反自然的に見えるだろう。けれどもル・ノートルにとっては、逆にこの規則性が宇宙の深遠な掟、すなわち自然の本質自体を意味していたのである」
(オギュスタンベルグ:日本の風景、西欧の景観より)

ヴェルサイユ宮殿平面