======グランドカバーとマルチングについて======
グランドカバーとは文字通り地面を覆う植物のことである
そういった意味では当然、芝生や、ツツジのなどもグランドカバーであるが造園業界でいわれている
グランドカバーとはポット(ビニールで出来てる直径10CM前後の鉢)で出荷される地被植物をさすことが多いようである。
代表的な物は、アイビー、タマリュウ(リュウノヒゲの仲間)、シバザクラ、マツバギク等である
グランドカバーの市場ははここ10年で多様化した。積算資料に掲載されているグランドカバーだけでも20樹類以上ある。
最近よく見かける物ではヒペリカム(ビョウヤナギの仲間)がある。カリシナム、ヒデコートなどの品種がある。黄色い華やかな花を咲かせる。
それにしてもネーミングはどうにかしてほしい。ほとんど学名そのままである。
グランドカバーは植え付ける時、平米当たりのポット数でコストがかなり変化する。10cm間隔で植えればかなり完成度がたかくなるが平米100ポット必要になるので,1ポット200円くらいの安いものでも平米2万円もかかってしまう。
間隔を20cmにすれば平米当たり25ポットで約5千円だが、植えた直後はまばらで裸地がかなり目立ってしまうのである。
しかし裸地にマルチングを施せばイメージは大分良くなる。マルチングは本来イメージアップに使われるのではなく、グランドカバーに限らず植栽土壌からの水分蒸発防止、保温、雑草防止などに役立つ非常に有効な手法である。そして美観にも一役かっているのである。
マルチングとはグランドカバーと同様地面を覆う物であるが生きた植物ではなくバーグ(針葉樹の皮)やチップ(木材を砕いたもの)、繊維(ヤシ等)、ワラ、こも、砂利ど様々な材料がつかわれている。
バークは観葉植物の鉢によく使用されている。屋外の植栽地の場合、バークやチップは風で飛んだり、犬などに荒らされて散乱してしまうので注意が必要だ。その点繊維質のものは絡み合うので飛散しにくく有効である。
マルチング材は数年で土になってしまうがその頃にはグランドカバーも成長し、裸地を多い隠してしまうようになる。
先日、レストランの植え込みにワインのコルクでマルチングがしてあり、雰囲気よく演出されていた。ワインのコルクもつかいようである。


=======生きた材料(樹木)の話=========
造園材料は建築材料とちがい生きた材料を使うことが多い。もちろん樹木や草花のことである。
特に樹木は工場でコンベアーにのって生産される規格品とは違って千差万別である。
農家が苗圃で生産していたり、造園業者が生産していたりするわけである。工場製品と違う点は前述したように生きた材料であること、商品として出荷できるまで年月(少なくとも3年以上)がかかる事である。
そしてこの時間がかかる事は注文生産がむずかしく見込み生産になってしまうという事である。将来売れること見越して樹種を選定するのだがせっかく商品になってもその時、人気がなくほとんど使用されない樹種だと悲惨な状態になる。
逆に人気が急騰した樹種をタイミングよくもっていれば大もうけができるのである。以前ハナミズキの人気が急騰し、品不足のため単価がうなぎ上りした。1年で5倍近く値上がりしたのである。
そこで生産者はハナミズキは儲かるぞということで苗木を買い生産したのだが商品になる頃には品物もだぶつきぎみになり単価もさがってしまった。人気にあまり左右されず比較的安定した需要が見込まれる樹種はどこでも生産しているので値段のたたきあいになってしまう。むずかしいところだ。
また樹木という商品は在庫情報があいまいなことが多い。全国的な在庫管理を統括しておこなっている組織など当然なく、唯一積算資料等に簡単な参考が掲載されている程度である。
工場のような設備投資も必要なく、空いてる土地があれば誰でもできるので全国の実態が把握できなくても無理がないのかもしれない。しかしこの情報がないと設計者が品不足の樹種を選定した場合、造園工事業者は品不足の木を全国からかき集めなくてはならなくなる。当然品不足のため樹型も選べず、単価も高くなってしまう。
そこで利益をだすためにどこかで調整しようとする。その結果、できあがった物の質が悪くなるのである。困ったものだ。

商品としての樹木(高木)は枝が四方に均一に伸びているものとされている。要するにどこから見ても美しくなくてはならない。
八方美人でないとダメなのである。よって片枝の樹木は商品とはならず伐採されてしまったりする。たしかに四方八方から見える位置に植えるシンボルツリーのような物なら八方美人である必要があると思うが、植栽する樹木すべてが八方美人である必要があるのだろうか。建物の際に植えるのであれば片枝のほうが都合がいい。また片枝同士を背中合わせで寄植えれば均整のとれた株立の木のように見せることも可能だと思う。
遠景でみどりの集団として見せるのであれば八方美人ばかりではかえって不自然でもある。
そういった意味で無駄の少ない樹木の生産と流通ができればトータルコストも安くかつ個性的な空間が創造出来ると思うのだが。本来は樹木一本一本の特徴を生かした植栽計画が理想であるが、現実は始めに植栽計画があり、次に八方美人たちが選ばれていくのが大半なのである。

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========クラインガルテンについて==========
クラインガルテンとはドイツ語で「小さな庭」という意味であるが日本の市民農園のようなものである。
市民農園との違いはまず区画の広さであろう。日本では標準で35平米くらいであるが、クラインガルテンではその10倍近い面積である。
またラウベという小屋がセットになっており、週末をクラインガルテンで暮らすのである
日本では趣味の農作業場という使われかたがほとんどであるが、ドイツでは週末ライフそのものなのである。
またクラブ形式で運営されているものが多く、期間も30年(日本では最長5年)と長期に利用できるためコミュニティ活動も活発である。
収穫した野菜やハーブを持ち寄りラウベの前で仲間とBBQパーティなどをして時を過ごすらしい。すばらしい週末ライフである。うらやましい限りだ。

日本の週末ライフとして思い浮かぶのは、渋滞した道路と長蛇の列の遊園地、混んだレストランなどなど。なんと貧困(精神的)な週末ライフなのであろう。

しかし、最近は日本でもラウベ付の本格的なクラインガルテンが出来始めた。中には滞在型という事で地方(車で都心から2~3時間)の農村に設置されているものも多い。
金曜の夜都心を出て土日をクラインガルテンで過ごすのである。だが、この距離を毎週通うのはつらいであろう。せいぜい月1~2回がいいところだ。そうなるとどうしても車で1時間以内の場所に欲しい。生活の一部となるにはそれこそ自転車で10分程度の距離が理想である。

無農薬野菜などがブームになっているが自分で野菜をつくれれば安心した野菜が手にははいる。そしてなによりも子どもがいる家庭などでは生きた教育ができるであろう。
遊園地などでは決して得ることができない生きた体験である。セットされ与えられる受身的なあそびではなく、自分で創造していくあそびでもあるのだ。そして食べ物だけではなく、週末ライフも自給自足で築きあげるべきである。

かたい話になるが日本で市民農園をやる場合は農地法がからんでくる。基本的には農家以外に農地を貸すことはできない。
そこで特定農地貸付制度という例外規定をつくり農地を一般市民に貸す事が可能となった。
さらに、農地ではラウベ等の施設をつくることがむずかしいために市民農園整備促進法をつくり、ラウベ等の施設の設置を可能としたのだ。

日本でもドイツのクラインガルテン並みの施設をつくる環境が整いつつある。


========街並について==========
きれいに刈り込まれた生け垣と統一された門柱が続く街並。いわゆるニュータウンといわれてきた美しい住宅地のイメージである。しかし統一されすぎた街並には違和感もおぼえる。それは閉鎖的であり、排他的でさえ感じる。
最近の分譲住宅地では生け垣ではなくコニファー等を利用した、変化のある沿道空間を作り出しているものもでてきた。
統一という意味では各戸とも似たような植栽、外構(エクステリア)であるが、生け垣のような線的な部分がなくなるだけでも大分イメージが違ってくるものだ。
私は東京の下町で生まれ育ったので子どもの頃はニュータウンなどとは無縁の環境であった。統一された街並とはかけ離れていたし、雑多でゴチャゴチャしたものであった。学校の友だちはペンキ屋、材木屋、大工、ゴム工場、自動車整備工場などさまざまであり、その家に遊びにいくとそれぞれ強烈な個性があった。
当然ペンキ屋に行けばペンキの臭いが家中に充満していたし、ゴム工場などの臭いもすごかった。自動車工場ではオイルの臭い、材木屋では製材ででるおがくずと木の臭いである。当たり前だが家の間取りなども千差万別であるから結構友人の家にいくときは家そのものが遊び場になった。
それに比べると統一された住宅地にすむ子どもは友だちの家にいっても似たような外観でかつ、間取りも自分の家とほぼ同じだったりするのはちょっとかわいそうな気がする。
統一のなかにいかに変化、個性を盛り込んだ楽しい街並をつくりあげていくかが課題である。
楽しい雰囲気をだせるか、バラバラで嫌悪感を感じるものになるかは結構紙一重なのかもしれない。


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